一瞬の風!知名度の低いメダル候補・羽根田卓也さんが、「知名度の低い銅メダリスト」へと見事にクラスチェンジの巻。|ブログインデックス

隙間を抜けるのが抜群に上手い!

巡り合わせ、タイミング、思う通りにコントロールできないものが確かにある。僕はそのことを火曜の早朝に感じていました。平行するふたつの大勝負。ひとつは柔道男子で日本のエースと目され、その期待に十二分に応える金メダルを獲得した大野将平さん。一本を連発し、敵が恐れをなして逃げに徹するなど、その強さは圧倒的でした。

しかし、僕はそれを小さなほうのテレビで見ながら、心の99%は別方向に置いてありました。同日に行なわれた体操男子団体決勝。リオ五輪の日本選手団の戦いにおいて、もっとも重要な試合が時を同じくして行なわれていたのです。そして思いました。「勝っても負けても体操がトップニュースだな」と。

日本選手団の金メダル予想が7つとかのレベルにあって、手にした貴重な金。しかし、その輝きはより大きな「内村さんが団体の金をとったぞぉぉぉ!」「ようやくあの負けてイライラする内村さんの悪態を見なくて済むぞぉぉぉ!」「山室は友だちだから責めないけど田中のことは睨みつける内村さんを見なくて済むぞぉぉぉ!」という喜びでかき消されていきました。

「タイミング悪っ!」

このあとも日程が詰まっておりますので、話題はどんどん流れていきます。人生をずっと支えるメシの種となる名場面が、人々の気持ちにあんまり残らずに消えていった大野さんが切ない。ほかの日だったら、こんなことにはならなかったのに。せめて体操男子団体以外であれば。避けようがない事態ではありますが、「団体野郎内村さんドン被り」「地上最強の乙女・吉田さんドン被り」は、そもそも論として厳しいものがありました。

そんな中、隙間を抜けてやってきた無印のスターがいた。

カヌースラローム男子カナディアンシングル・羽根田卓也さん。カヌー界でしか知られていない一般人が、まさにカヌー競技のように狭い隙間を抜けてやってきた。同日の柔道が、女子メダルナシ、男子敗者復活戦からの銅メダルと精彩を欠く中で、カヌー競技史上初の銅メダルを引っ提げてスターダムに川登りしてきた。

競泳のメダルレースは始まっておらず、柔道はパッとせず、夜の段階では歴史的勝利にわいたラグビーがダブルヘッダーのもう1試合で「最後のコンバージョン入れれば同点」というキックを外して負けてしまった。体操女子団体は期待以上の結果は出すも、4位に留まりメダルサプライズは起こせなかった。狭い狭い隙間を潜り抜けて「今のトップニュースは…羽根田さんですかね…?」と知らない人がやってきた。

これこそがタイミングの妙。もしほかの日程であれば、例えば明日であったなら。ウチの愛(※現姓:福原)がメダルを懸けて戦っていたり、内村さんの個人総合があったり、柔道・競泳が普通にあったり、サッカー男子のグループステージ最終戦があったりして、羽根田さんの話をしている場合ではありませんでした。もう、何と言うか、結果以上にタイミングが抜群だった。「上手く抜けてきましたねぇ」と唸るしかない絶妙の隙間産業…!

↓「へー」「ほぅぅ」「ははぁ」の声が日本に轟く、これがカヌー、これがカナディアンナントカ、これが羽根田さんだ!

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簡単にカヌー競技スラロームについて説明しますと、その名の通りカヌーで急流をスラロームする種目です。カナディアンカヌーというのは、棒の片方にだけブレードがついているパドルをもってやるタイプの船です。カヌーにはもうひとつ、カヤックというのがあり、それは一本の棒の両端にブレードがついているパドルで操ります。

スラロームは川の中を蛇行しながら進むのですが、コースはあらかじめ設置されたゲートによって決められています。緑の棒で示されたゲートは流れにそって上流から下流へと下る、高速で通過するゲート。赤の棒で示されたゲートは、下流から上流へとさかのぼって通過するゲートです。

基本はゴールまでのタイムで争うのですが、ゲート通過時にいくつかのペナルティがあり、タイムに罰点を加えていきます。ゲートの棒に身体や船が触れると2秒のペナルティ。ゲートを通過し損ねたり、定められた方向以外で通過すると50秒のペナルティ。ゲート不通過は基本的にはナイことですので、棒に当たるかどうか、というのが勝負をわけるポイントです。

とにかく棒に触れなければいいので、身体を倒したりして避けながら選手は進んでいきます。急流の中での船のコントロールと、若干のズレに対応する身体のコントロール。狭い隙間をいかにして上手に潜り抜けていくかというのがポイントとなります。赤のゲートをスムーズに抜け、波に乗って緑のゲートへとスピードを上げていく。どういう動きで抜けていくか、コース攻略も重要なポイントです。

↓ルールがわかったところで、もう一度同じハイライトをどうぞ!

ま、ルールがわかったところでって話ではありますが!

羽根田さんはペナルティなしで上手に抜けてきました!

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羽根田さんは予選を5位、準決勝を6位で通過。決勝は10選手が、準決勝の成績下位から順にスタートします。羽根田さんは準決勝6位ということで5番目にスタート。20番の赤のゲートを通過したあとに、やや波にもまれてこらえる場面があり、後半にタイムを伸ばし切れませんが、ペナルティはひとつもなく自分のレースを終えた時点で2位という好位置につけます。残る選手は5人。まぁ、準決勝6番手ですから、ここから残る選手に抜かれていくのが普通の展開。

しかし、ここからがすごかった。残り5人で出てきたチェコの選手はミスはないもののタイムが伸びずに上位浮上ならず。残り4人で出てきたスロベニアの選手は、見た目にはわかりにくいほどのカス当たりながら、ゲートに2度接触し4秒のペナルティ。タイムでは羽根田さんよりかなり速いゴールでしたがペナルティの差で上位には入れず。

残り3人で出てきたフランスのガルガウシャヌは最終的に金を獲得する、ノーペナルティの好タイムでゴール。この時点で羽根田さんは3位、残る選手はふたり。残り2人で出てきたスペインのエルセギは、タイム自体は羽根田さんより速いものの、途中でガツンとゲートに当たる大きなミス。カス当たりと合わせて2度の接触となり、4秒のペナルティで下位に沈みます。

そして、最終スタートのドイツのタジアディス。ロンドンの銀メダリストで、今大会も予選・準決勝ともに1位通過。しかし、金メダルに挑む大事な一本で、序盤にゲート接触、さらに20番ゲートに向かうところで流されて大きくタイムロス。タイム自体は速いもののペナルティを加えると5位。ノーミスで抜けた羽根田さんに銅メダルがやってきました!

羽根田さんは「自分で言うのもアレですけど、日本人がこの競技でメダルを獲るのはホントにすごいと思う」と振り返りました。北京14位、ロンドン7位、しかし入賞程度では字幕の中の出来事からは抜け出せません。しかし、今回はメダルという大きな成果を、何もない日に達成した。何もない日にメダルを獲った。まさにゲートをすり抜けるような、巧みなタイミングコントロール術。

テレビ番組でも「私の友だちが知名度の低いメダル候補なんです」という投稿によって採り上げられたそうですが、ついに「知名度の低い銅メダリスト」へと一段階上昇した。これから半日ほど、「カヌーとは?」などの話題で世間は染まっていくことでしょう。素晴らしいタイミングでのメダル獲得が呼び込んだ、突風。ぜひ東京五輪に向けて、そのメダルを活かしてほしいもの。

お正月のスポーツ特番などで、「カヌーで滝を降りられるか」「カヌーの上で天ぷらが食べたい」などの無理難題を押しつけられたりしながらステップアップしていけば、東京五輪では「注目のメダル候補」となっているかもしれません。僕も4年間覚えていられるかは自信がありませんが、検索したときに引っ掛かるように記録を残しておこうと思います。「4年前、見たんだ…」と4年後に驚くために!

↓おめでとうハネタク!4年後にまた会おう!


ラッキースター羽根田!一瞬の風を捕まえた!

BABYMETALのファンだそうなので、BABYMETALさんのほうでも何か考えてあげてください!

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チケットが取りやすそうなので、4年後は現地で会えるかもですね!

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