トゥア・スパーダ活動記録⑬【ドラクエ10】 |ブログインデックス

001
「終末論」という言葉をご存知だろうか。

世界には終わりがあり、それが世界そのものの目的であるという宗教チックな考え方のことであるが、ことアストルティアに置いて「世界の終焉」という結末は「サービス終了」という形で確実に訪れるのだ。

アストルティア最強剣士を目指す―。そんな志を無邪気に掲げて書き始めたブログも早2年半。いつしか日々の日課や週課に追われ疲弊し切った精神は飽きという闇に飲み込まれかけていた。

あの日、あの少女に出会うまでは―。

002

秋が秋らしさもなく過ぎ去ろうとしていた土曜日の午後のことである。ドラクエ10にINしていつのものようにチームチャットに挨拶を入れると、

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「こん」

最近めっきりINが減ったチームメンバーのヤンがINしていた。
ヤンと言えばチーム随一のヘヴィプレイヤーで、一線級のガチ装備とアクセサリーを持つキャラクターアカウントを推定4つは所有している生粋のガチ勢である。
僕のイメージは「暇さえあれば職人をしている男」だ。

いや、「暇さえあれば職人をしていた男」か。

最近はドラクエに物足りなさを感じたのか、別のMMOゲームで遊んでいることが多い。

もう1人ログインしていたチームメンバーは、

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ライトニング。通称イカちゃん。

彼女がイカちゃんなどと呼ばれているのには、それこそ海よりも深い理由があるのだが、詳しく述べるのは長くなりそうなのでやめておこう。尺の関係というやつだ。
 
あえて簡単にまとめるならば「なんかイカの帽子をかぶってた」からだ。
 
彼女はヤンとは違って、比較的毎日ログインして真面目に日課をこなしている勤勉なプレイヤーだ。
しかし、最近はINしていても離席マークを出していることが多いし、リーダーである僕が命じた「語尾にゲソをつけろ」という指示を守らないことも増えていた。

以上、僕を含めて3人がこの日のログインメンバーだった。

003

7人チームで3人。

やや物足りない稼働率ではあるが、これでも今のアストルティアに比べたらよく集まっている方だろう。

何か遊ぼうと思ってもやることがない、一緒に遊ぶ人がINしていない。それが今のアストルティアなのだ。

その証拠に、フレンド欄を開いてみると休日の土曜日の午後だというのに200人のフレンドのうちIN表示になっているのは20人にも満たなかった。

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「人いねーな」

思わず愚痴が漏れてしまう。

オープンチャット、かきおき、SNS、ブログなど多くの人の目に触れるところでネガティブ発言というのはすべきではない。特に最近のドラクエ10界隈では、誰かのそういう発言に対して過剰なまでの反応が起きるようになっており、しばしばTwitterやブログなどでそれ系の発言は炎上している。みんなこの手の話題に過敏になっているんだと思う。

だが今は気心が知れたチームメンバー相手なので、遠慮無く言わせてもらう。
「人がいない」「やることがない」 
「レーゼが俺よりモテるのなんでやあいつマジ」
「ツリ目の魚は滅びろタレ目こそが正義」

もはやテンプレとなった愚痴がこの日のチームチャットを無遠慮に飛び交っていたのだ。

004
小一時間後、僕とヤンはキュララナ海岸に立っていた。
ドラクエ10の未来を憂いだ僕たちは、そもそもドラクエ10って新規プレイヤー増えているのか?という疑問に当たり、とりあえず新規プレイヤーがいるかどうかを探しにキュララナ海岸にやってきたのだ。

つまりまあ、それほどまでに暇を持て余していたということだが—。 

キュララナ海岸と言えば、Ver1時代のレベル上げで隆盛を誇ったレベリングの聖地である。
当時は酒場で「ひら」めきの指輪を装備した「タ」イガークローが使える爪職=通称:平田を雇って、この海岸でジュオ―シャンシャンシャン!という音を奏でながらレベルを上げるのが最高にCoolだった。

1サバ~40サバまで冒険者で溢れており、当時夢のようだった玉給4万の狩り場は、某TVショッピング番組のメロディに乗せて「タ~コメットタ~コメット♪夢のタコメット平田~♪」という名フレーズが生まれるほどに人気を博していたのだ。

新規プレイヤーがレベルを上げるにはこれ以上ない狩場である。

だが、久しぶりに訪れたキュララナ海岸の様子は当時とはかけ離れたものだった。 

005
キュララナ海岸の浜辺では、数パーティがぽつり、ぽつりと狩りを行っていた。

画像処理が間に合わないほどの人が溢れていた当時の繁盛ぶりは見る影もない。

それでも狩りをしている人たちが僅かにいることに一安心し、様子を見に近付いてみる。

そして、気付く。目の前の異常な事態に。

敵に当たる、敵を倒す、立ち止まり敵を探す、また敵に当たる。
一連の動作を無駄なく不気味なほど規則的に、ただ淡々とこなし続けるプレイヤーたち。
応援をしてみても、話しかけてみても一切の反応はなかった。

そう、彼らはBOTと呼ばれる自動狩りの違反プレイヤーだった。ひどい場合は、全員同じキャラメイク&一文字違いのキャラ名で4人パーティを組んでいる者さえいた。

かつて冒険者たちが希望を胸に腕を磨いた修練の場は、希望どころか意思する持たない人形たちの作業場に成り下がっていたのだ。

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僕とヤンはその光景に絶句していた。あるいは絶望と言っていいのかもしれない。

ほのかな期待は完膚なきまでに撃ち砕かれた。まるで拾ってきたエロ本がただのヤングマガジンだったと気付いたときのように、真っ暗な闇が心を覆い尽くそうとしていた。

まさにそのときである。

1人の少女が僕らの前に現れたのだ。 

006
いわとびあくまが闊歩する、キュララナ海岸の東部エリア。

タコメットの狩場が混んでいた場合にはこちらのエリアに移動して、いわとびあくまを狩る方が効率が良いというのが当時の上級者たちの常識だった。


その少女は、数匹のいわとびあくまと対峙していた。

種族はエルフ。エンゼル帽子に初期服という出で立ちで、妖精族の少女は戦っていた。


確認のため応援を送ると「ありがとう!」という反応が返ってきた。それとほぼ同時に、サポ魔法使いのテンション強化されたメラゾーマが敵を焼き尽くす。

最新のBOTには外部応援に反応して定型文を返答するものもあるようだが、ここでヤンが異変に気付いた。

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「この子、キーボード打ってる」


再び応援を送ってみると、キャラクターの頭上にチャット入力中のアイコンが表示され、今度は「ありがとう^^」と返事があった。


敵を倒し終えると、その場で「ぴょん」と1回ジャンプをし、次のシンボルを目指してぴょんぴょんとジャンプしながら、楽しそうに走っていった。

再び応援を送るとその度に立ち止まりキーボード打ち「ありがとう」と返す。

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「お礼大丈夫だよ、頑張って」

そう言うと「はい^^」と答え、また飛び跳ねながら駆け出して行ったのだ。

その姿をただ見ているだけで、まるで心が洗われるようだった。

心中を覆った暗い闇はいつのまにか霧散し、消えてしまっていた。

007
少女がレベリングに勤しむ様子を、僕とヤンはただ見守っていた。

その少女にこうして心を奪われてしまったのは、ジャンプするたびに初期服のスカートがめくれて際どい感じになるとかそういうのは一切関係なく、自分たちが強さと引き換えに失ってしまったモノを、少女が持っているように思えたからだった。
 
彼女と話しをしてみたい—。

そんな衝動が沸いてくるのに時間は掛からなかった。

ここで問題は、どっちが切り出すか。ということだ。 

現時点で少女にとっての我々はレベリング中に粘着して応援してくる怪しい2人組のおっさんだ。 愛想良く接してくれてはいるが、内心訝しがっていることだろう。

常識的に考えれば、ナンパは甘いマスクの爽やかブロンドボーイである僕の役目だろう。 しかし、僕は先日開催されたナンパイベントで最下位の屈辱を受け、見ず知らずの女性に話し掛ける自信をすっかり失ってしまっていた。 

ゴールドのチカラで2位という好成績を収めたヤンも、純白な心を持つ少女に対しては、流石に「1本50万でどう?」などと声を掛けるのは躊躇っているようだった。

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「ちょっと声かけてみよ」

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「任せた」

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「いや、ここはお前が」

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「頼んだ、リーダー」

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「レーゼを呼べ」
 

 結局どちらも声を掛けることが出来ず、最終的には人畜無害度No.1の呼び声高いイカちゃんを召喚して声を掛けてもらうという情けない運びとなった。

008

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「レベル上げですかー^^」 

BOTに惨殺されるタコを見てテンション高めに現れたイカちゃんが、あっさりと少女に声を掛けた。 

すると少女はピタリとレベリングの手を止め、ぴょんと1回ジャンプして答えた。

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「はい、ムーロンさんを探しに来たんですけど見つからなくて。仕方なくレベル上げを。」

ムーロンと言えば、我々熟練のプレイヤーにとっては焼き直しの夏イベントがなじみ深いが今は秋だ。

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「むむ!イベント終わってますね(^^;」

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「おー、そうなんですか」
 
少女にわずかに落胆の色が見えた。

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「クエスト008の、、、」

ん?クエスト008だって?

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「待って、いるかも」

クエスト008は『流れ着いた愛の詩』ジュレットの町で受けられる初級クエストをウェディである僕だけは覚えていた。

少女に、確認してくるのでレベル上げしながら待っていて下さいと言い残し、記憶を頼りにその場所に向かうと、静かな浜辺にムーロン老人がいた。

夏イベント期間が終わると、彼を訪ねてくる者は今のアストルティアにはほぼいないだろう。それでも老人は3年間ずっとこの場所で、クエスト008を受注した冒険者が来るのを待っていたのであった。

009
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「ムーロンいました。案内しましょう」

少女の元に戻りそう申し出ると彼女はとても喜んで御礼を言ってくれた。僕らはパーティに彼女を誘い4人パーティとなった。ドルボードは持っているかと聞くと「持ってますー!」と元気よく答えた。

ムーロン老人の元に向かうときも後ろをついてくる彼女は、やはり楽しそうにぴょんぴょんジャンプしていた。

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「いましたー!」

ムーロン老人を見つけると少女は嬉しそうに駆け寄って行った。その後しばらくして無事クエスト進行を示すメッセージが表示された。

それから話しを聞いてみると、どうやら彼女は先週ドラクエ10デビューを果たしたばかりの正真正銘の新規プレイヤーということだった。彼女からはMMOになったドラクエを純粋に楽しむ気持ちが痛いほど伝わってきた。それは、僕たちがずっと前に忘れてしまった気持ちだった。

すっかり彼女に惚れ込んでしまった僕らは、フレンド登録をお願いしてみた。

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「わぁ!ありがとうございます!」

出会ったばかりのレベルがあまりにかけ離れた3人からのフレンド依頼を彼女が受けてくれるかやや心配ではあったが、彼女はこれもまた喜んで受けてくれた。

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(可愛すぎる・・・)

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(初々しい・・・)

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(さらいたい・・・)

そんな気持ちを抑え「ではまた遊びましょう」と別れの挨拶をしてルーラストーンで飛び去る。

全員が飛び立つまで彼女は見送ってくれた。

ここでもやっぱり、ぴょん!ぴょん!と嬉しそうにジャンプしながらだ。

010
後日談というか、今回のオチ。

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先日の2人にチームメイトのメロンを加えて久しぶりに4人パーティを組んだ僕たちは、福の神コインの持ち寄りに来ていた。

今までの僕たちならば福の神コイン持ち寄りなんていうものは、ただ眠くなるだけの作業だと思っていただろう。しかし、今の僕たちは知っている。

日課で手に入れた数枚のふくびき券を握りしめ、ビョルンから福引きをドキドキしながら引いたあの頃と同じ気持ちが胸の中で踊っている。

もう迷宮のボス部屋前の宝箱をスルーすることも、トルネコに会って無視することもないのだ。

福の神コインをまわしながら、先日経験した素晴らしい出会いのことをメロンに話した。

とあるエルフの少女から大切な何かを教えてもらったこと、彼女とフレンドになれたこと、今度レベルを上げて一緒にボスに行こうと約束したことを。

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腐敗臭を放つ腐ったメロン。

 

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違う。そうじゃないんだよ、メロン。

あの頃の俺たちはそうじゃなかっただろう?

もっと強くなりたいと、フィールドに出て何千何万回も剣を振るったあの日々を思い出せ。

図鑑に刻まれたタコメットの討伐数だけ、あの頃の俺たちはただ純粋に強くなりたいと願い、その先に待つ大冒険に胸を高鳴らせていたのだろう?

終末論が世界を終わりに向けてまわしてると言うのなら、今あるこの世界を全力で楽しもうじゃないか。

もうすぐVer3.1後期アップデートがやってくる。

もしこれを読んでいるキミが、ドラクエ10を楽しめなくなってきているのなら、騙されたと思って一度フィールドに出てみるといい。

ぴょんぴょん跳ねる小さな妖精が、キミにも大切なことを思い出させてくれるかもしれない—。

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「アプデ当日持ち寄りメタキンぶっぱ箱&トルネコ無視行く人ー?」

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「はい!」

おしまい。


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